統合失調症は、幻覚や妄想、感情の乱れ、思考の混乱など、さまざまな症状を伴う精神疾患です。この疾患を抱える人とのコミュニケーションは、非常に繊細であり、その人ごとに適切な方法は異なるため経験のある方でも難しいと感じることが多いのではないでしょか。この記事では、統合失調症のある方とのコミュニケーションにフォーカスし、具体例を交えながら、そのポイントと効果的なアプローチについて考えてみたいと思います。 目次●総合失調症のある方とのコミュニケーションで重要な考え方●具体的な対応方法 具体例1:幻覚や妄想に対するコミュニケーション 具体例2:感情の表出に対するコミュニケーション 具体例3:日常におけるコミュニケーション 具体例4:社会的孤立を防ぐためのコミュニケーション 具体例5:危機的状況におけるコミュニケーション●まとめ 統合失調症のある方との信頼関係を築くために 総合失調症のある方とのコミュニケーションで重要な考え方統合失調症のある方とのコミュニケーションにおいて最も重要なのは、本人が抱える現実の認識や思考の歪みを理解し、それに対して共感的かつ尊重する姿勢を持つことです。--------共感的とは・・・その人の背景を想像して、寄り添うこと(目の前の言動だけで判断しない)尊重する姿勢とは・・・あらゆるケースにおいて肯定的な態度を示すこと (頭ごなしに否定しない)---------統合失調症のある方は、現実とは異なる認知や感覚を経験していることが多いため、彼らの言動に理解を示せない場合も多々あるでしょう。しかし、それを否定したり批判したりすることは、本人の心理的な安全を脅かし、症状の悪化を招く可能性があります。頭ごなしに否定することなく、もし、自分が異なる認知や感覚を持つとどんな思いをするだろうか?と想像してみることが大切です。 具体的な対応方法それでは具体例を挙げながら、5つのケースごとに効果的なアプローチを紹介していきます。 具体例1:幻覚や妄想に対するコミュニケーション「誰かが私を監視している」と統合失調症のある方が話すことがあります。これは典型的な妄想症状の一例ですが、これに対して「そんなことはありえない」と即座に否定してしまうと、孤立感を深め、さらにはあなたに不信感を抱くことにつながります。適切な対応としては、まず本人の感情に共感すること。自分がもし誰かに24時間監視されていると思ったら、どんなに不安になるか?と想像を膨らませてみてください。「それはとても不安なことですね」と受け止めるような言葉が自然と出てくるでしょう。ここで重要なのは、本人の感じている不安を否定せず、寄り添おうと努める姿勢を示すことです。また、「私の頭の中に声が聞こえる」と言った場合、これも幻覚症状の一例です。こうした場合にも、本人が感じている声の存在を否定せずに、脅されるような声が聞こえるのであれば、「それは怖くて当然ですよね」と、実際に声を聞こえていたら起こりえる、当然の反応として受け止めることが推奨されます。このように、本人の話に耳を傾け、否定せずに彼ら、彼女らが感じる思いを尊重することで、彼らが感じいる恐怖や混乱を軽減し、少しでも安心感を与えることができます。 具体例2:感情の表出に対するコミュニケーション統合失調症のある方の中には、感情のコントロールが難しくなるケースがあります。例えば、突然涙を流したり、逆に無表情になったりすることがあります。こうした感情の表出に対しては、過度に反応せず、自然に接することが重要です。たとえば、突然泣き出した場合、「どうしたの?」と優しく声をかけ、必要であればそばにいてあげるだけでも十分です。本人は、自分の感情が受け入れられ、理解されていると感じることで、落ち着きを取り戻しやすくなります。一方で、本人が無表情で感情を全く示さない場合、無理に感情を引き出そうとせず、本人が自分のペースで話すのを待つことが大切です。無表情だからといって、感情がないわけではなく、表出することが難しい状態にあるため、先ずは相手が安心できるような雰囲気・環境を作り出せるような穏やかな態度で接することが求められます。 具体例3:日常におけるコミュニケーション日常的なコミュニケーションにおいても、統合失調症のある方に対する配慮は欠かせません。出来る限り簡単で明確な言葉を使い、短い文章で話すように心がけます。例えば 「○○を片付けてください」よりも、「○○を××に置いてください」といったように具体的な指示を出すことで、理解しやすくなります。また、複雑な話題や抽象的な概念について話す際には、本人が混乱しないように、少しずつ話を進めることが効果的です。たとえば、その日の予定を話すとき、「今日はこれをして、その後にこれをします」と段階を追って説明をする。また必要に応じて紙に書いたり、図示することも取り入れると良いでしょう。 具体例4:社会的孤立を防ぐためのコミュニケーション統合失調症のある方は、症状の影響から社会的に孤立しがちです。そのため、コミュニケーションを通じて、本人が社会とのつながりを感じられるよう支援することが重要です。具体的には、本人の興味や関心を尊重し、その話題に基づいて会話をすることが有効です。たとえば、音楽が好きであれば、「最近どんな音楽を聴いていますか?」と質問し、その話題について深めていくことで、本人が自分の好きなことを共有できる喜びを感じることにつながります。また、社会的なイベントや活動に参加するよう促す際には、無理に誘うのではなく、本人が興味を持ちそうな内容を提案し、興味を示した場合に一緒に参加するようにサポートすることが効果的です。本人が一人で行動することに不安を感じる場合には、信頼できる家族やスタッフが同行することで、安心感を提供できます。 具体例5:危機的状況におけるコミュニケーション統合失調症のある方が強い妄想や幻覚に囚われた場合、自己破壊的な行動や暴力的な行動に至る場合があります。大原則として、このような時は一人で抱えることなく、誰かに相談をしながら進めていくことや、自身への身の危険を感じる時は、警察へ連絡することなども頭には入れておいてください。その人自身も、自分の状態をコントロールできない中で誰かを傷付けてしまうことは、後で大きなショックを与える結果になってしまいます。警察を呼んだら直ぐに大変なことになってしまうということもなく、警察の方も本人に合わせて話を聞いてくれますし、警察などの第三者が入ることで本人も落ち着くということがあります。こういったいざという時にどうすれば良いかという事を頭にいれ、落ち着いて対応できる状態をつくった上で、以下のようなことに気を付けて、接してください。例えば、本人が「誰かが私を傷つけようとしている」と強く感じ、パニック状態になったとします。このような場合、あなたはまず本人の安全を確保しつつ、落ち着いて対応することが必要です。ゆっくりと穏やかな声で話しかけ、「ここは安全な場所です」「あなたは守られています」と伝え、安心感を与えることが重要です。それでも本人が過度に興奮している場合は、深呼吸を促し、「落ち着くまでそばにいる」と約束することも有効です。 まとめ 統合失調症のある方との信頼関係を築くために統合失調症のある方とのコミュニケーションは、単なる会話のやり取りを超えて、本人の心理的安定や社会的つながりを支える重要な要素です。本人が感じている現実を尊重し、共感的かつ尊重した態度を示すことがお互いの信頼関係の構築につながります。ただ、こうしたコミュニケーションにおいて施設スタッフや家族が負担に感じることがあるのは事実です。またその人ごとに適切な対応は異なるため、施設内での教育・ノウハウの共有は難しい点も多々あります。そこでシエンシーは、以下2つのような総合失調症のある方とのコミュニケーションの方法を学べる動画教材を提供しております。(以下2つの動画の他にも様々な動画がございます)1.就労継続支援B型事業所で「希死念慮(特に理由はないけれど漠然と死を願う心の状態)」のある利用者に対して、支援者はどういったアプローチをとるべきか 2.総合失調症からの回復には必ず「服薬」が必要となります。その「服薬」に関して、支援者が持つべき正しい知識と正しい対応とはなにかこういった内容を1テーマ10分程度のアニメーション動画で紹介しており、施設全体での教育・研修運営にお使いいただけます。 ご興味がございましたら、ぜひ以下お問い合わせページよりお気軽にお問い合わせください。【シエンシーHP】https://ciensee.com/【シエンシー問い合わせページ】https://ciensee.com/contact