虐待防止研修におけるグループワークは、参加者が実践的なスキルを身につけ、現場での対応力を高めるために非常に有効です。グループワークを通じて、参加者同士の意見交換や情報共有が行われ、虐待防止に対する理解が深まります。また、虐待防止研修におけるグループワークは、知識やスキルの定着のみならず、虐待の芽を早期に発見する役割や、チーム内で相談しやすい環境を作るといった様々な効果があります。本記事では、虐待防止研修における効果的なグループワークの進め方や、ディスカッションにおける問いかけ方法等について詳しく解説します。目次1.グループワークの目的・重要性2.グループワークの実施方法3.ケーススタディにおけるグループワークの進め方4.まとめ1.グループワークの目的・重要性虐待防止研修におけるグループワークの目的としては、主に以下4つが上げられます。実践的なスキルの習得: 実際のケースを基にディスカッションやロールプレイを行うことで、具体的な対応方法を身につけることができます。意見交換と情報共有: 参加者同士が意見を交換し、異なる視点や経験を共有することで、新たな発見や学びが得られます。また、実際に発生した事象に基づいてグループワークすることにより、事業所・施設での問題点を発見することにも繋がります。チームビルディング: グループワークを通じて、参加者同士の信頼関係や協力体制が強化されます。支援の現場では、職員の過度なストレスや孤立状態によって、虐待が起こりやすくなるため、職員が一人で悩んだり問題を抱え込まないための、風通しのよい職場環境づくりにも役立ちます。問題解決能力の向上: 複雑な問題に対して、グループで協力して解決策を考えることで、問題解決能力が養われます。また、支援者視点での多角的な考え方のみならず、利用者視点で考え、ニーズを汲み取る能力を養うこともできます。2.グループワークの実施方法グループワークの実施方法には、➀事例検討、②ロールプレイ、③ブレインストーミングといった方法があります。①事例検討実際の事例を基にディスカッションを行う方法です。活用しやすく、最も障害福祉の現場で活用される方法ですので、具体的な進め方について次項に詳細をまとめています。②ロールプレイ役割を演じながら具体的な対応方法を学ぶ方法です。例えば、虐待の兆候が見られる場面をシナリオとして作成の上、参加者に役割を配分し、ロールプレイを実施します。どのような気持ちになったか、どんな対応が良かったか、改善点は何かなどを話し合いながら学びます。③ブレインストーミングブレインストーミングは、自由な発想でアイデアを出し合い、問題解決策を見つける方法です。例えば、「虐待の早期発見のための新しいアプローチを考える」等をテーマとして設定し、各メンバーが自由にアイデアを出し合います。この時、批判や評価は行わず、できるだけ多くのアイデアを出すことを重視します。最後にアイディアを整理し、具体的な行動計画を設定します。3.ケーススタディにおけるグループワークの進め方グループワークの実施方法として、最もオーソドックスな方法はケーススタディです。ケーススタディにおけるグループワークを効果的に進めるためのステップは具体的に以下のようになります。3-1.研修テーマ及び、目的・目標の設定グループワークを設計するための最初のステップは、研修テーマを明確に設定し、その研修で学ぶことの目的や目標を設定することです。とはいっても、具体的にどのようなテーマに設定するのが良いか?から悩むポイントかと思います。虐待防止研修のテーマ選定に困ったら、こちらの記事を参考にテーマを選定してみてください(参考記事:虐待防止研修における研修テーマの設計方法について:https://preview.studio.site/live/Z9qpMBZ4aP/media/QTZNFRez)3-2.課題や事例の提示研修のテーマや目的が決まったら、グループワークで取り組むための事例を提示します。例えば、<事例>入浴を拒否して暴れている利用者に、対応している職員が大きな声を出したり、利用者の腕を強く抑えている。このケースについて話し合いましょう利用者さんがことあるごとに、職員Aさんを呼びます。何度も呼ばれた職員Aさんが利用者さんに対して、「用もなく何度も呼ばないで」「どうして理解できないの」と怒鳴っており、施設では状態化しています。その場に自分が居合わせた場合、どのような対応をするのが適切でしょうか?利用者Aさんは、身体に不自然な変色が目立ち、最近無口になっている。彼の家族関係についても問題が指摘されているがどのように対応するのが適切でしょうか?などのようなものが上げられます。特に事例については、最近施設・事業所内で発生した事象を取り上げることで、研修を受ける職員もより身近な問題意識を持つことができ、有意義なグループワークになります。事例のほか、「利用者の人権を尊重する支援とは何か考えてみましょう」などといった、より広い”討議課題”を設定する方法もあります。以下では、事例を提示した場合のネクストステップをご紹介します。3-3.個人ワーク(事例の場合)研修のテーマ・目的を決め、そのテーマに関する事例を設定できたら、まずは自分自身で考える個人ワークの時間を設けるのが良いでしょう。個人ワークでは、提示された課題や事例に対して、以下のような観点から深堀して事前に考えを巡らせることで、グループワークでの意見交換が活発になります。<個人ワークにおける観点>当事者目線で考える:自分だったらどのように対応するか? もし自分がその支援を見たり、聞いたりしたらどのような対応をするか?支援者目線で考える:客観的にその方法は適切と言えるだろうか?なぜ適切/適切ではないと考えるのか?なぜそのような対応をとってしまったのだろうか?(不適切な対応の原因を考える)利用者目線で考える:なぜその利用者はそのような行動をとっているのだろうか?不適切な対応をされたら/自分が考える対応方法をしたら利用者はどんな反応になるだろうか?組織・チーム目線で考える:チームや組織の基本的な決まり事・指針などが設定されているだろうか?知識や支援方法などを相談できる環境にあるだろうか?もし見ている人がいたらお互いにどのようにフォローや指摘をしあうべきだろうか?虐待の兆候に気づける体制にあるだろうか?関係機関への報告や連携方法は全員理解できているだろうか?3-4.グループワークグループワークでは、個人ワークで考えた内容を共有し、各グループでディスカッションを行います。グループは適切な人数(4~6人程度)が望ましく、異なる職種や経験を持つメンバーを組み合わせると、多様な視点を得ることができるというメリットもあります。グループリーダーやファシリテーターは、個人ワークで考えた内容を共有してもらいながら、以下のようなポイントに気を付けながら議論を進行することが重要です 積極的な参加の促進: 全ての参加者が積極的に発言できるように、意見を引き出す質問を投げかけたり、発言の機会を均等に与えます。タイムマネジメント: グループワークの各ステップに適切な時間を配分し、時間内に進行するように管理します。サポートとガイド: 議論が脱線した場合は、重要な話に話題を戻したり、一度区切って次の人に発言機会を与えるようにしましょう。4.まとめ虐待防止研修におけるグループワークは、実践的なスキルの習得や意見交換、チームビルディングに非常に有効です。特にケーススタディ等の方法を活用し、これまでに述べたステップを参考に実施いただくことで、本来の虐待防止研修で果たすべき目的が達成されると思います。単純な知識のインプットで終わらないよう、短い時間でも構わないので、定期的に個人ワークやグループワークを通じてアウトプットする機会を作ってみてください。しかし、そもそも虐待防止研修のテーマとしてどのようなテーマ・目的を設定するかというファーストステップから、ケーススタディで取り上げるべき事例の抽出など、日頃忙しいなかで考えることも簡単ではありません。そこで当社(シエンシー)では、虐待防止研修プログラムに関するあらゆる動画教材を提供しております。”福祉現場でのあるある事例を踏まえた、わかりやすいアニメーション動画”の形式となっているため、虐待防止研修における基礎多岐な知識学習に加え、今回ご紹介したケーススタディをそのまま実施できるよう、事例を踏まえた動画教材となっております。具体的には以下のような虐待防止研修に関わる動画(1テーマ10分程度)などが視聴し放題となっております。【動画テーマ(参考のため一部抜粋)】・障害者虐待防止法・身体拘束・虐待のメカニズム・言葉による虐待・言葉による虐待グレーゾーン・虐待を発見したら・権利擁護と虐待等 その他多数のテーマがあります。 また、研修テーマごとに理解度を確認する確認テストや、感想等を提出・管理するワーク機能などを搭載しており、学習履歴として研修実施概要・履歴をPDFで出力することも可能です。ご興味がございましたら、ぜひ以下お問い合わせページよりお気軽にお問い合わせください。【シエンシーHP】https://ciensee.com/ 【シエンシー問い合わせページ】https://ciensee.com/contact